蛍火に揺れる

「何か自分一人で乳児片手に…だったらめんどくさくてパンだけとかだったなぁ…」

「あーやっぱそう?」

「うちはお母さんがおかず用意してくれてたけどさー、頻回授乳で三十分毎にあげてたから、めんどくさくてパンだけだったわ」

「さ、さんじゅっぷん………」

三十分毎に授乳。そりゃ大変だわ……。
「まぁ若かったからできたんだろうけど」と付け足すハルさん。

「ちょうど私が妊娠した時って、多分菅原さんの年齢の時だったと思う」

「え?そうなんですか?」

「だから子供産むなら早い目の方がいいわよ~?」

にやぁとした視線を菅原さんに送るハルさん。
けど菅原さんはあっさりと「ま、あと数年は遠慮させてもらいたいところですよね」と。

「それよりも今、うちの部全体が大変でそりゃもう…」

「ぁー、今日も江浪君と大村君が…」
「いや大元は営業の鈴木さんなんですよ!もう予算オーバーの仕事受けろって言われてもムリなんですってって何回言ってもゴリ押しがひどいから、それにうちの課と江浪さんが巻き込まれてるんですよ!」

どうやら、今日の休日出勤の内容はこれ…ってうまいことはぐらかしたな?菅原さん。
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