蛍火に揺れる
なので…私は仕方なしに、自分の事情について話すことにした。


「あのね、江浪君。私ね、あと二年後には結婚しなければいけない」

「二年後?」

「三十までに結婚しないと……連れ戻されるの田舎に。問答無用で」

私の事情と言えば…あと二年後の三十歳までに結婚しなければ、ど田舎の地元に連れ戻されてしまう。
元々『お嬢様短大』と『大手双葉企業グループ』という名に免じて、私は東京で暮らすことを許可されていた。


両親の願いとしては、私を地元の人と結婚させて、手の届く範囲に居てほしいのだろう。

それに…なんせうちの田舎をはじめとして、過疎化が進んでいる。
連れ戻すと意気揚々として見合い話を持って来て、永住する方向に仕向けようとするに違いない。

でも私としては、まっぴらごめんな話なのだ。


「だからね、私は二年後には結婚がしたい。だから次付き合うんだったら、結婚を視野に入れた付き合いがしたい。
 まだ働いて二年にもなってない江浪君にとっては、重たい話でしょ?まだまだこれから遊べるし、いろんな人と出会う。私なんかじゃ勿体ない」
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