蛍火に揺れる

そして二人…いや、蛍も入れると三人になった。
少し寂しさがあるが、やっぱりこの『家族』で居ると安心する。それは蛍が成長するにつれてより一層感じるようになってきた。


「蛍ちゃーん、起きてるー?」
ノリ君はベビーカーを覗き込んで、蛍の頬っぺたをプニプニさわっている。デレデレしてるノリ君に対し、蛍はうんともすんとも笑わない、眉間に皺を寄せた正反対の反応。


「沙絵ちゃんどうする?買い物して帰る?」

「そうだよねー、ここ大型のベビー用品店あったよね?」

「うん、そろそろ春のロンパース……って…」

言いかけた所で、蛍の「フェッ…フェッ…」と言う泣く声が響く。さっきの仏頂面からして、そろそろタイムリミットか。


私は仕方なしに蛍を安全ベルトから外して抱き上げた。少しボリュームが収まったが、まだグズっグズっと訴えかけるように泣いている。

「はいはい、お腹減りましたねー。ノリ君ごめん、授乳の時間だわ……」

「じゃぁベビー用品店の授乳室行こっか。すぐそこのビルだよ」

「わかった。蛍ちゃーん、もうちょっとの我慢ですよー!」


そうして私達は、駆け足でベビー用品店へと向かっていく。
『何を買おうか』と二人で話しながら。
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