蛍火に揺れる

五月、ゴールデンウィーク最終日。

二泊三日の帰省を終えた私は、自宅まで帰ってきた。

ここは半月前に引っ越してきたばかり。
それまではノリ君が元々住んでいたマンションで、ひしめき合うように二人で一ヶ月暮らしていた。入らない荷物は貸倉庫に預けて。
ようやく条件のいい物件を見つけて、引っ越してきたというわけだ。

そして私は十五畳もある広いリビングで、トランクから荷物を片付ける作業をしていた。
広すぎて落ち着かないと思ったのは最初の数日だけで、結局慣れて当たり前になるんだな、とかそんなくだらないことも考えながら。


ノリ君は出掛けているらしく、まだ帰ってきていない。まぁまだ夕方なので、夜には帰ってくるだろう。
私はそれまでに…あの件を考えなければならず、頭をかかえながら荷物の仕分けを行っていた。
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