蛍火に揺れる
私が指差す方向。
そこに有るのは、淡い、淡い光の点。
そして次の瞬間ー一気に点は数倍になり、四方八方に散っていく。
そうここは、蛍が見れる場所なのだ。
「私ね、東京に出てくるまで、川に行くと蛍が絶対見れるもんだと思ってたの」
私は生まれて十八年間、蛍なんてその辺に居るものだと思っていた。蛍の減少と言われても実感がなく、その言葉の意味はようやく東京に出てきてから気付いたのだった。
しばらく二人で、川のせせらぎをBGMに佇む。
真っ暗闇の中に浮かぶ、沢山の小さな点を追いながら、私は彼に何て言おうかと考えていた。
「あのね、沙絵ちゃん。僕が沙絵ちゃんと結婚したい理由なんて…すっごく些細な事だよ」
黙って見ていたノリ君は、立ち上がって光の中に飛び込んでいく。
蛍は近づいては離れ、近づいては離れて…まだらに彼の身体のラインを浮かばせていた。
「僕はシンプルに、またこの蛍を沙絵ちゃんと一緒に見たい。それも結婚したい理由の一つ」
そこに有るのは、淡い、淡い光の点。
そして次の瞬間ー一気に点は数倍になり、四方八方に散っていく。
そうここは、蛍が見れる場所なのだ。
「私ね、東京に出てくるまで、川に行くと蛍が絶対見れるもんだと思ってたの」
私は生まれて十八年間、蛍なんてその辺に居るものだと思っていた。蛍の減少と言われても実感がなく、その言葉の意味はようやく東京に出てきてから気付いたのだった。
しばらく二人で、川のせせらぎをBGMに佇む。
真っ暗闇の中に浮かぶ、沢山の小さな点を追いながら、私は彼に何て言おうかと考えていた。
「あのね、沙絵ちゃん。僕が沙絵ちゃんと結婚したい理由なんて…すっごく些細な事だよ」
黙って見ていたノリ君は、立ち上がって光の中に飛び込んでいく。
蛍は近づいては離れ、近づいては離れて…まだらに彼の身体のラインを浮かばせていた。
「僕はシンプルに、またこの蛍を沙絵ちゃんと一緒に見たい。それも結婚したい理由の一つ」