蛍火に揺れる
翌日私たちは、名残惜しまれながらも帰路についた。
空港まで送ってもらったので、大分短縮にはなったけれど……それでも移動は半日がかりなので大分疲れてしまう。
ようやく品川駅に着いたのは、もう午後六時を回った時間。
空港ではあまり感じないけれど、ここまでくるとようやく『帰ってきた!』という感じがしている。
「沙絵ちゃん、どうする?もうすぐ夕食の時間だけど?」
「そうだよねえ……どうしよっか、駅ナカでも見てく?」
何か飲食店もあったはずだし、おいしい駅弁を売っているお店もあったはず。
私たちは乗り換えのホームに下りる階段を通過して、店が並ぶ場所まで歩いていた。
「ちょっと………あれ?大村?」
不意にノリ君が足を止めて、大きく手を振りはじめた。すると前方にいた男性も手を振り返して、こちらに近づいてくる。
(うぉ……マジで?!)
私が驚いた理由。
それが遠目からでもわかるほど身長が高く、無駄な肉が一つも付いていないスラッとした体型をしているということ。
そして…それに負けじ劣らず整った顔立ちをしているという点も。