蛍火に揺れる
「二人とも、一応付き合った。でもすぐ別れただけ」

へえっと私とノリ君は揃って、疑いの眼差しを彼に送る。
まぁこんな見た目でうちのグループの人間ともなれば、それはさぞかし選びたい放題だろうしな。


「もう俺は…懲りたわ。もう恋人はいい……」

うんざりとした顔で頭を抱えている彼。
まぁ、様子からして本当の事らしい。それが彼自身に問題があるのか、付き合っていたという子が地雷なのかはわからないが…。



「そんなこと言っても、大村。名古屋支社内で相当モテるらしいがぁ?」

「絶っっ対に社内恋愛はやだ」

「何で?」

「俺は……名古屋に骨を埋めたくないんだ……」


そう言うと頭を抱えてブルブルと震わせている。
まぁ、うちの女性陣はほぼ移動が無いので…確かに結婚しようものなら一生そこの支社勤務だろう。特に幹部候補かかるギリギリの彼じゃ、一生名古屋で飼い慣らされるだろうな……。


「いいじゃん、名古屋で天下取ろうぜ」

「ちっ…余裕の本社勤務が」

「嫌みか?」

「それ以外何かある?」

色々冗談を交えながら会話している辺り、二
人はそこそこ仲が良いらしい。
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