蛍火に揺れる
あぁ、イケメンは正義ってこのことか、なんて妙に思ってみたり。


「沙絵ちゃん、大村どう?」

「噂には聞いてたけど…こりゃまたすごい子だねぇ…」

「モテる男は違うねぇー」

いや…自覚してないだけで、あなたも相当だと思っていますが……。

「ていうかさ、大村君は名古屋でしょ?なのに仲良いんだね」

「そうかな?まぁ一次のグループディスカッション一緒だったし…そん時に大村につきまとう女子が居たから、必然的に大村は僕に付いて回ってたわけなんだよね。うっとおしいぐらい」

そんな事を言っているが…心なしかノリ君は楽しそう。
何だろうな、職場の同期や後輩にも見せない…それこそ私の前での態度とも違う。昔の子供に戻ったような、遠慮のない友人関係のようなものを見ている。

それに…

「ノリ君、『俺』って……」

思わず肩をすくませて笑ってしまう。
ノリ君は私の前でも、ずっと一人称は僕だったから、何だか可笑しくて。
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