蛍火に揺れる

「どうだった?うちの両親」

ノリ君も私の隣に腰かけて、ジュースに口を着けている。

「あぁ、穏やかでいい人そうだったね」

なんというか、見た目からして彼の両親であることは間違いがないと言えるような…そんな印象を受けた。


「でも私はさ、もっと尋問されるかと思ってた。私の方が年上だし…そんなにいいとこのお嬢さんってわけでもないし…あんなあっさりと応援してくれるとは思ってなかったよ」

正直反対されるのではないか?!と私は身構えていたし、どう反論しようかと何度もシュミレーションを重ねていた。
しかしその身構えは全て拍子抜けするほど空振りに終わり、正直これでいいのだろうか…なんて今でも少しだけ思っている。

ノリ君は「反対なんてとんでもない」と言って頭をふるふると震わせる。

「僕はさ、あまり両親と連絡をとらない人だったんだ。社会人になるまでメールも年に数回程度しかしないぐらいの」

「そうなんだ」

「あんまり両親の事は好きではなかったね。何で日本人なのに日本で暮らせないんだって、腹の底ではずっと恨んでもいた。学校でも日本人は少なかったし…ずっと一人ぼっちの気分だった。
 でも沙絵ちゃんに出会って、ようやく両親の事を理解できるようになってきた」

「私が?何で?」

そう聞き返すと、フフッと優しく笑ってこう言った。
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