蛍火に揺れる

ーそして私達は結婚した。


その次の日から、私達は結婚に向けて動き始めた。

ノリ君のご両親にこっちで式を挙げたいと伝えたところ、大層喜んでいただいて…何と本当は二月にオープンのチャペルを、年末の三十一日に特別に貸していただけることになった。
そしてあっさりと挙式日が大晦日に決定。


入籍日は、十一月二十二日。
一応験担ぎで『いいふうふの日』…ということもあるのだが、実を言うと私の誕生日。
というわけで奇しくも三十歳の誕生日が、私達夫婦の入籍日となった。


しかし名字が変わったとは言え、特に何も変わらない普通の毎日。
元々一緒に住んでいたし、会社では相変わらず旧姓を使っているので…普段の生活の中で『結婚した』という実感はあまり沸かなかった。

ただ休日にはドレスを選びに行ったり、両親のチケットの手配など……そんな式の準備を進めることだけが唯一、本当に結婚したんだなと思える出来事だった。


そして年末の慌ただしい中、私達は無事に式を挙げることができた。

ガーデンテラス内にある、新しくできたガラス張りのチャペル。
窓からは一面真っ青な海が見えて……私達は海を背景に、二人で愛を誓い合った。
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