蛍火に揺れる
そして日付もそろそろ変わろうとする頃。

私達は無事に両親を部屋に送り届けて、ようやく自分達の宿泊する部屋に戻っていた。
ちなみに弟の昌幸はいつの間にかどこかに消えていた。一人で遊びに行ったらしい。

せっかくだし街中でカウントダウンイベント…でも良かったのだが、なんせ両親を送り届けたところで力尽きてしまった。

特にうちの両親のテンションの高さったらもう今までに見たことがないぐらいで。これは絶対に結婚式に浮かれてるわけじゃなくて、ビーチリゾートというシュチュエーションに受かれてんだな…というのが露骨すぎるぐらいにわかる。


「沙絵ちゃん、大丈夫?疲れたよね?」

ベットに腰かけてぼーっとしている私を、ノリ君が隣に座って覗き込んだ。


「あぁー……親にねー……」

なんせ両親にとっては、新婚旅行以来の海外旅行。
持参したガイドブックにはびっちりと付箋が貼られ、空港に到着した時からお土産を物色している有り様。
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