蛍火に揺れる
何とか今買うのは阻止したが、とんでもない数のお土産になりそうな予感がしている……。


「まぁ、喜んで貰えて嬉しいけどね…」
しかし、こんなに目を輝かせている両親を見るのはいつ以来だろう。こんな喜ぶんなら、もっと旅行に連れて行ってあげればよかったな。なんてこともほんの少し思っている。


すると次の瞬間ードンっという音と共に、パチパチと何かが焦げる音がする。
時計を見ると、時刻は丁度午前零時。新年を祝う花火の音みたいだ。

「あ、あそこ…ほら」

ノリ君が指差す先。遠くの建物の影から、花火がチラチラと覗かせている。
白い光が上がっては広がり、消えて行く。
はっきりと見えるわけではないけれど、私達は目を凝らして打ち上がる花火を追いかける。


「沙絵ちゃん、今年はどんな年にしたい?」
ノリ君は花火を見上げながら、私にそう問いかけた。

「うーんそうだね。二人でさ、仲の良い家族になれたらなって思う」

「僕も。でも…沙絵ちゃんのお母さん、ああ言ってたけど、どうなのその辺?」


肩を竦ませながら、クスクスと笑っているノリ君。
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