蛍火に揺れる
お母さんの言ってたことって、あれだろう。

『孫が抱きたい』という話だろう。


「うーん……まだいいような気もするし…もう三十歳だしなぁって思っている面もある……」

まぁ確かに将来的には欲しいかな、とは漠然と。でも今すぐ欲しいってわけではないし、もう少し二人の生活を楽しみたいような…でももう三十歳に足を突っ込んでいるので、早く結論を出さないとなぁ、とも漠然としてだけれど考えはていた。


「沙絵ちゃん、仕事は続けたい、よね?」

「勿論…って言うか、そんな家庭に入るって考えたこと、ないなぁ……。うちみんな働いてたし、女性でも働くのは当たり前だと思っていた」

「だったら早い目に産んでおけば、子供の手が離れるのも早いとは思うんだけど」


そう言われると……「そうかもなぁー」とは。

確かにハルさんを見ていると、これからキャリア的に重要になってくる時期ではあるが、もう子供に手のかかる時期というのはとっくに過ぎていて、仕事に没頭できる環境ができている。
正直三十代半ばで一時離脱するよりも、遥かに有利であることがわかる。
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