蛍火に揺れる
プライドよりも大切な

******

ーそして変化は訪れる


五月、ゴールデンウィーク明け。
長期の休みが終わり、ようやく日常が戻ってきた頃。

私はカレンダーを見ながら、首を傾げていた。


(えっと………きてない、よね……?)

生理が三、四日ぐらいだけど、遅れていた。

そりゃまぁやることやってんだから、自然なことではある。
でもまだ数日の遅れだし、検査薬を試すのは早いよなぁ……なんて。

それに、仕事のストレスも溜まっている頃。
単にストレスで遅れてるだけかも知れないし、もう少し様子を見よう。そう結論付けて、私は出勤準備に戻った。


「沙絵ちゃん、大丈夫?」

「あぁ……仕事に行きたくないわー」

一瞬ノリ君に言うべきか迷ったが、まだ言わないことにした。
絶対に浮かれて言っちゃって噂になる……という事が予想できるからだ。

(ただでさえ……私の噂がなぁ……)

今はちょうど新入社員への教育が終わって一段落ついた頃。
まぁ新人の人たちにとっては社内の環境やら人間関係がわかってくる時期になる。エリート…しかも年下と結婚した私は、格好の噂の的になっているらしい。最近は『洗脳』とまで囁かれていて、少し疲弊している。
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