蛍火に揺れる
その日私達は、偶然上がりの時間が一緒だったので飲みに行くことに。
経理部の居残り組のハルさんと菅原さんも一緒に。

このメンバーではよく飲みにいっており、いつも愚痴を言い合う仲。


いつも通り私達が愚痴を溢し合っている最中、ノリ君が「俺の同期本社に戻ってきたんだよねー」と切り出す。
そして偶然にも仕事終わりだった大村君が捕まったらしく、私達の所にやって来た。


「江浪久しぶり………って菅原……か?」

菅原さんを見て、固まる大村君。
菅原さんもしかり。


これは…どういうことだ?


「あれ…?大村、知り合い……?」

「大学のサークルの後輩」

あぁ、そうか。確かに二人は同じ大学出身ではあるな。
まぁ面識あっても、不思議ではない、か?


「久しぶりだな、菅原。元気だったか?」

「えぇ、大村先輩も元気そうで」

「そうでもないよ」

二人のなんてことないやり取り。
久しぶりの再開にうってつけのテンプレート通りの会話。

でも私はー見逃さなかった。

大村君の声のトーンが少しだけ高い。
いつもよりほんの少し、高い声で話している気がしているのだ。
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