蛍火に揺れる
大分遠回りになる筈だし…となると、目的は菅原さん…以外にある……?


「江浪君、大村君ってどんな人?」
全く事前情報が無いハルさんは、疑り深い目。
まぁ言うなら……『イケメンすぎて胡散臭い』だろうか。


「まぁ性格は嫌な奴ではない、かな。あの容姿だし近寄りがたい感じがするけど、あんな感じで以外と気さくな面もあるし、容姿を鼻にかけたような嫌な感じじゃないとは思う。ま、仕事に関してはすっごく厳しいとの噂はあるけど」

「一応彼も幹部候補かかってたから…こっち戻ってきたってことは、幹部候補の波に乗ることになるんじゃないかな。しかも課長だし…確実に幹部候補だねあれは」

私もそう付け足すと、ハルさんの顔が一気にキリッと変わる。
『幹部候補』という言葉に何かスイッチが入ったようだ。


「でもさ……大村君、『社内恋愛は絶対嫌だ』って言ってたような…」

「沙絵ちゃん、それは名古屋に骨を埋めたくないからでしょ?
 むしろここで社内の人間と結婚する方が、転勤の可能性も少なくなるとは思うけど」

となると…条件は揃う?
三人で目を合わせるとー一斉に頷く。
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