蛍火に揺れる
「まぁ、まだ断言はできないよ。ストレスかも知れないし」

「す、すぐに帰ったら検査薬!」

そんなに慌てなくてもいいのにな…と思いながら「はいはい」とあしらうような返事だけしておいた。


そして最寄り駅に到着すると、深夜営業しているドラッグストアで検査薬を購入。
さっそく家で試してみることにした。


(あ、やっぱり……)

じわじわと浮き出る縦の線。
それは紛れもなくー陽性反応の線だった。


「うん、やっぱ出てるわ」

トイレから出たら、待ち構えたように待っているノリ君。
私はさっきの検査薬の棒を、彼に見せた。

「これってその…妊娠したってことだよね?!」

「まだわかんないよ。流れる可能性もあるし、子宮外妊娠かも知れない」

「でも、確率は?」

「うーん、結構高いとは思うけど」

そう言うと、ガッツポーズまでして「やったー!」と叫ぶノリ君。
そんなノリ君とは対照的に、まぁ再来週にでも病院に行くか…なんて私の頭は、妙に冷静になっていた。

< 85 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop