蛍火に揺れる
驚き固まっていると、鍋がシュワワと音を立てて吹き零れる。私は慌てて火を止めて、卵をササッと流し込んだ。


「ノリ君……広報宣伝課って……」

「そう、課長は大村課長様」

「……公私混合?!」

「では無いってはっきり言われたんだけど」

「えぇ?!」

ちょっと待て、大村君と菅原さんって……

「あの二人、付き合ってないの…?」

「って言われたよ。おっかしいよねぇ……」


あくまでハルさんとノリ君の情報であるが。
私が悪阻でダウン中にも二人は親密な仲になっていたらしく、金曜の夜は決まって二人で街に消えていくとの情報が。


『大村のすり寄り方がひどい』ってノリ君が若干(楽しそうにしながらも)呆れており、まぁでも二人が上手く行くんならと然り気無く協力はしている、らしい。


「だから僕は『付き合ってること知られたら、正直マズイと思うけど』って言ったんだよね。
 でも『別に付き合ってるわけじゃないし』って」

「いや、だって二人よく出掛けたりしてるって…」

「でもそれはあくまで『先輩後輩として』だって。それで『先輩から見て』菅原さん広報向いてるって押し切った、らしいよ」


いや、さすがに仲良い先輩後輩の関係とは言え、明らかに大村君は菅原さんのことを気に入ってるように見える。
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