水曜日は図書室で
美久と留依
翌日の学校はちょっとした騒ぎになった。
美久と快が用具室に閉じ込められたことと、その犯人であるあかりと友人数人のことについてだ。
あかりたちは一週間の停学を言い渡された。そしてその日は家に帰されてしまった。桜木先生が家に行って、コトの次第を保護者に説明するとも言っていた。
停学の間は学校には来ないだろうが、その間、プライベートやその後にまたなにかされるのでは。
怖く思った美久であったが、桜木先生が勇気づけてくれた。
「今回のことは先生たちの中でもちょっとした問題になっている。次になにかあれば処分はもっと重くなるだろう。だから大丈夫だと思うぞ」
それで一応安心しておくことにした。
それにずるい思考かもしれないが、快が美久と同じ立場であること。
そしてあかりが快に強い思い入れがあること。
その両方があれば、美久に直接なにかをしてくるということはあまりないのではないか。
そう思ったことも手伝って。
快もわざわざ朝、A組に来てくれた。
「体調は大丈夫か?」と心配してくれたのだ。
「あそこはずいぶん寒かったから……風邪かなんか引いてないかと思って」
快がジャケットを貸してくれたからそんなことはなかったというのに、わざわざ様子を見に来てくれたのだ。美久の心がまた熱く騒いでしまう。
「大丈夫だよ。久保田くんも大丈夫?」
「ああ、俺は平気だ」
それでこの事態はいったんの収束となった。一日中、どこか落ちつかない空気がA組と、多分D組でも漂っていただろうが、それでも一応授業はしっかりあったし、日常へ戻っていくのだと感じさせられた。
放課後、留依が美久のところへ来てくれた。
「美久、一緒に帰らない?」
美久はちょっと驚いた。留依は部活があると思ったのだ。
「私はいいけど、留依ちゃん、部活は?」
聞いたけれど留依は首を振った。
「今日は休むよ。部活のひとたちも昨日の事件は知ってるもの。休んでいいって」
その言葉で美久は理解した。昨日のことを詳しく聞いてくれるつもりなのだ。
……嬉しい、と思ってしまった。
心配してくれる友達がいるというのは。
だから美久は「ありがとう」と言って、それを受け入れた。快と約束している水曜日ではなかったことも、快に「どこかで会おう」と言われなかったのも手伝って。
今は快と二人きりになるのはちょっとためらわれた。
なにしろ告白なんてされてしまったのだ。
そして美久からはまだはっきりと返事をしていない。
その状態で一緒に過ごすのは。
快もこの事情で声をかけてこなかったのかもしれなかった。すなわち、美久に一人で考える時間が欲しいだろうと。気をつかってくれたのかもしれない。
留依と帰路について、駅へ向かって電車に乗る。その間ちょっとそわそわしていた。
いろいろと話すことはある。
あかりに呼び出され、閉じ込められてしまった経緯とか、快がそこになぜいたのかとか。
けれど一番重要なことはやはり。
快に告白されてしまったこと。
話すに決まっていたのだから。
美久と快が用具室に閉じ込められたことと、その犯人であるあかりと友人数人のことについてだ。
あかりたちは一週間の停学を言い渡された。そしてその日は家に帰されてしまった。桜木先生が家に行って、コトの次第を保護者に説明するとも言っていた。
停学の間は学校には来ないだろうが、その間、プライベートやその後にまたなにかされるのでは。
怖く思った美久であったが、桜木先生が勇気づけてくれた。
「今回のことは先生たちの中でもちょっとした問題になっている。次になにかあれば処分はもっと重くなるだろう。だから大丈夫だと思うぞ」
それで一応安心しておくことにした。
それにずるい思考かもしれないが、快が美久と同じ立場であること。
そしてあかりが快に強い思い入れがあること。
その両方があれば、美久に直接なにかをしてくるということはあまりないのではないか。
そう思ったことも手伝って。
快もわざわざ朝、A組に来てくれた。
「体調は大丈夫か?」と心配してくれたのだ。
「あそこはずいぶん寒かったから……風邪かなんか引いてないかと思って」
快がジャケットを貸してくれたからそんなことはなかったというのに、わざわざ様子を見に来てくれたのだ。美久の心がまた熱く騒いでしまう。
「大丈夫だよ。久保田くんも大丈夫?」
「ああ、俺は平気だ」
それでこの事態はいったんの収束となった。一日中、どこか落ちつかない空気がA組と、多分D組でも漂っていただろうが、それでも一応授業はしっかりあったし、日常へ戻っていくのだと感じさせられた。
放課後、留依が美久のところへ来てくれた。
「美久、一緒に帰らない?」
美久はちょっと驚いた。留依は部活があると思ったのだ。
「私はいいけど、留依ちゃん、部活は?」
聞いたけれど留依は首を振った。
「今日は休むよ。部活のひとたちも昨日の事件は知ってるもの。休んでいいって」
その言葉で美久は理解した。昨日のことを詳しく聞いてくれるつもりなのだ。
……嬉しい、と思ってしまった。
心配してくれる友達がいるというのは。
だから美久は「ありがとう」と言って、それを受け入れた。快と約束している水曜日ではなかったことも、快に「どこかで会おう」と言われなかったのも手伝って。
今は快と二人きりになるのはちょっとためらわれた。
なにしろ告白なんてされてしまったのだ。
そして美久からはまだはっきりと返事をしていない。
その状態で一緒に過ごすのは。
快もこの事情で声をかけてこなかったのかもしれなかった。すなわち、美久に一人で考える時間が欲しいだろうと。気をつかってくれたのかもしれない。
留依と帰路について、駅へ向かって電車に乗る。その間ちょっとそわそわしていた。
いろいろと話すことはある。
あかりに呼び出され、閉じ込められてしまった経緯とか、快がそこになぜいたのかとか。
けれど一番重要なことはやはり。
快に告白されてしまったこと。
話すに決まっていたのだから。