水曜日は図書室で
 まず二年生の階へ行った。A組とD組を見てみた。そこにはいなかった。
 D組には何人か男子がいたので「あの、久保田くんはいますか」と聞いてみた。
 けれどいい返事はなかった。
「知らないなぁ。俺、掃除に行ってたし」
「俺もだなー」
 いたひとたちからはいい情報が得られなかった。
 けれど最後に「今日、部活でもあるんじゃね」と聞いて、美久は「そこかもしれない」と思った。
 今日、部活がないのは知っていた。それで快が「水曜日に図書室で」と言ってくれたのだし。
 でも快がいそうな場所ではある。急に部活の用事でも入ったのかもしれない。それで部室か体育館に行ったのでは。
 よって「ありがとうございます」とそのひとたちにお礼を言って、美久は階段を降りた。
 体育館のほうへ行ってみるつもりだった。バスケ部の部室の場所はもう知っていた。何回か待ち合せたり、迎えに行ったりしたことがあるのだ。
 もうバスケ部のひとにも美久が快の彼女になったことは知られていたから、「久保田ー、彼女が来たぞー」なんてたまにからかわれてしまうのだけど。
 今日もそんなふうに平和に終わるといい、と思った美久。
 しかしそんなわけにはいかなかったのだ。
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