あなたの心臓になりたかった
シエルは、死と向き合う人がたくさんいる。大切な人を想って、残りの時間を過ごしている。私は……蛍さんは……。

「あなたの、心臓としてもっと早く出逢いたかった。あなたの心臓として、私……」

私は、蛍さんの代わりに死ぬことはできない。もう彼女の笑顔には逢えない。でも、蛍さんが教えてくれたことは確かに胸に残っている。

私は、泣き続けた。結衣先生が抱きしめてくれて、私はさらに泣いた。涙が枯れるんじゃないかと思うくらい、泣いた。

そして、泣き止んだ後にこう言ったんだ。

「結衣先生、私、福祉コースを選びます」

あの場所で、もう一度自分と死について向き合いたい。

私はきっと、これから先何度でも死にたがる。だから、知りたい。死と自分自身について……。
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