雪に咲く華
不器用な優しさ
葵side
『葵、今日は俺のバイクに乗ってよ!』
『凛、今日は勉強するって言っただろ』
『ほら紘、起きて!おやつ準備しといたから』
『…食べる』
ピピピピ
アラームの音で目を覚ます。懐かしい夢だったな…。私の、かつての仲間たち。昨日倉庫なんかに行ったせいかもしれない。
いつもそばにいてくれた大切な人たち。元気にしてるかな?なんて思う資格、私にはもうないのかもしれないけど。
ぼんやり考えながら身支度を済ませる。朝ごはんを食べないのはいつものこと。お弁当だけ作って家を出た。
登校中に感じるのは突き刺さるような痛い視線。好奇や嫉妬、込められている感情は様々だけど気分のいい状況でないのは確かだ。
原因も分かりきっているからなおのこと。
「あの子でしょ。昨日由希様がお声がけなさったという」
「そのまま双龍の皆様のところへ行ったとの噂よ」
「件の転校生か!やるなぁ」
全く、好き勝手に言ってくれる。私は関わりたくなかったのに…。そりゃ咲に会えたのは嬉しかったけどさ。
どんどん膨らんでいくモヤモヤを晴らしてしまおうと足早に教室へ行って席に座り_
かけたところで前に座っていた人が振り返った。
「おはよ、葵」