雪に咲く華
近づく覚悟
葵side
双龍に通い始めて早1週間ほど。倉庫にいるからといって特別何かやることがある訳でもなく、1人で勉強したり本を読んでいる事の方が多い。
正直言って、
「暇だ…」
しかも今日はみんな用事があるとかで遅れてくるそうだ。
唯一倉庫にいる幹部が小早川くん。
さっきまで一緒に幹部室にいたんだけど、あまりにも視線が痛いものだから退散してきたのだ。
何しよう。勝手に帰ったら怒られるし…。
あ、あそこにいるのって
「理」
「あ、葵さん!こんにちは!」
理は仲良くなった下っ端くんの一人。私の一つ下で、同じ高校に通っている。
敬語で話してたらすごく恐縮されてしまったので、今ではタメ口だ。
「もしかしてバイクの整備中だった?」
「はい!最近こいつの調子が悪くって、治してやりたいんですがどうも上手くいかないんです」
「ふーん。ちょっと私にやらせてくれない?」
「え?!葵さんがいじるんですか?!」
「うん。やっぱダメだよね」
大事なバイクだろうし…。
「いえ、そんなことは!でも汚れてしまいますよ?」
「大丈夫。軍手さえあれば」