雪に咲く華
「あ、それから俺たちのことも呼び捨てでいいよ?苗字なんて堅苦しいじゃん」
「え、でも」
「だめ?」
そんな上目遣いやめてください。女の私より可愛いですから。
「...わかりました。じゃあ由希先輩と呼んでも?」
「先輩もなくていいんだけど、まあいっか。葵ちゃん、永和も名前で呼んであげてね」
如月先輩も?仮にも総長に向かって部外者が馴れ馴れしすぎないかな?
「如月先輩」
「...」
「えっと、永和先輩?」
「ああ」
返事、してくれた。しかもちょっと口元緩んでた。貴重だ...。
「葵」
「はい」
「離れるなよ?」
何から、なんて聞くだけ野暮だ。
宴もたけなわ、そろそろお開きになろうかという時、永和先輩が言った言葉に私は頷くことができなかった。