雪に咲く華
追いかける背中
咲side
「そういえば、咲ってどうして双龍の姫になったの?」
最近抱き着いてはすり寄るように隣に座る颯を小脇に抱える葵が、ふと思いついたように聞いてきた。
「こう言っては何だけど、咲はあまり族とかに関与しないタイプだと思ってた」
「あー確かにそうだね。最初に声かけてきたのが真だったら絶対無視してた!」
「なんだと⁈」
「ふふっ。確かにわかる気がする」
真の反応を見て葵は可笑しそうに笑う。女の私から見てもそれは綺麗に。
「んーとね、入学したとき席が前後だった信乃が、話しかけてくれたんだよ」
そう、あれは1年前。
『俺、尾崎信乃っていうんだ。これからよろしくね?』
前に座ってた男の子がいきなり振り返って挨拶してきたんだよね。ちょっとびっくりしたけど、不思議と嫌な感じはしなくて、
『水波咲です。こちらこそよろしく』
気づけば私も名乗っていた。