雪に咲く華
手を伸ばす人
葵side
結局昨夜一晩調べたり考えたりしてみたけど、目新しいことはわからず仕舞い。睡眠時間を削って寝不足になっただけだった。
そのせいか、なんだか今日は体がだるい。
「けど、学校休むほどでもないしな」
なるべくさっぼったりしたくない。眠いだけで学校に行かないのはなんとなく嫌だった。
鞄に軽食と颯のパーカーを入れて、時計を見るとまだ7時。今から行けば誰とも会うことなく学校に着くだろう。
朝の涼しい空気の中慣れた道を歩いて30分ほど。校門が見えてきたところで思わず足を止めた。
「...咲」
門の横にはいつもの笑顔ではなく、仏頂面の咲が立っている。
「おはよう、葵」
「おはよう。こんな早くにどうしたの咲。姫なんだから一人で出歩いちゃだめだよ」
「大丈夫、信乃に送ってもらったから。それに朝早いのはお互い様でしょ?」
下駄箱で靴を履き替えながら淡々と話す。
「昨日のこと、颯から聞いたの。だからこっそり返しに来るんじゃないかと思って待ってた」
「さすが、よくわかってるね」
咲の言うとおり、昨日颯が貸してくれたパーカーを届けに来たんだ。
颯たちはただでさえ人気者なのに、その上学校中の悪い噂になっている私が会いに行くわけにはいかない。
永和先輩から接触禁止を言い渡されてるからなおさらだ。