君の世界を知りたかった。
ん?

私は違和感を覚えた。

宇佐美君、始業式の時いたっけ?

あんなカッコイイ人がいたら絶対気付くはずなんだけど……。


「でもさ、始業式の時、宇佐美君いなかったよね?あと昨日も」

「なんか噂によると風邪ひいてたらしいよ」

「そうなんだ。風邪か」


宇佐美君の方をチラッと見ると、椅子に座って文庫本を読んでいた。

字を目で追っている姿だけで美しくみえる。

モテない方が逆におかしいか。


おもわず見とれてしまう。



その時、宇佐美君は私の視線に気がついたのか、文庫本から目を離し、一瞬だけ私と目が合った。



──ドキッ。



え? な、なに?


今、なんだか心臓がバクバクしてる。


おかしいよ。こんなの。きっと何かの間違い。



だって私の好きなタイプは、無口のクール系男子なんかじゃない。


もっと明るくて、クール系じゃない方が好みだもん。



今、ドキってしたのは、あまりにもかっこよすぎるから、ただそれだけだよ。




「は……のは…菜乃葉!!」


「わ、わぁっ!え、なに?」



夏菜に呼ばれて大きい声を出してしまった。



「なに?じゃないよ!私の話聞いてたの?」


「話?なにそれ」


「やっぱり聞いてなかったんじゃん!」


「ご、ごめんごめん……」


「もぅー!って、あれ?なんか顔赤くなってない?菜乃葉」



え? 私、もしかして宇佐美君を見て顔が赤くなったの?



「べ、別に!なんで私の顔が赤くならないといけないのよ!」

「んー?なんか怪しいぞぉー?」

「……っ!」

「と、とにかく!なんでもないから!」
< 4 / 13 >

この作品をシェア

pagetop