八神くんのお気に入り
「何?」
低いトーンの声に恐怖心が増していく。
明らかに不機嫌な様子。
「あ、あのっ……走るの早いです!転けてしまいます」
「はぁ?」
ひっ
「やっぱり何でもない……でふ」
!?
今私、何て言った?!
でふって!
でふって……!
恐怖心のあまり噛んでしまうなんて……。
最悪。
穴があったら入りたいってこう言う事なんですね。
「ぷっ」
「へ?」
「“でふ”って……!おまえ最高!」
そう言った銀髪の彼は、お腹を抱えて笑っている。
その姿を見て余計に恥ずかしくなっていく。
「怖い?」
顔を覗き込んできた彼は、イジワルな笑みを浮かべていた。