八神くんのお気に入り
寄り道
教室に入ってきた菫は誰かを探している様子で、私と目が合うと走ってきた。
「莉子ー」
「わっ!」
勢いよく抱きついてきた菫に、座っているのにもかかわらず、私はバランスを崩した。
「良かった〜!一緒のクラスだね」
「だね!」
4月。
春休みも終わり、2年生になりました。
カバンを自分の席に置いた菫が、私の隣の席に座った。
「それにしても、電話で聞いた時はビックリしたよ〜」
なんて菫は言ってるけど、顔は嬉しそう。
「いいなぁ。あの八神に守ってもらうとか、最強じゃん」
頬杖をついた菫はうっとりしてる。
「私もそんなカッコいいセリフ言われてみたいなぁ」
菫の言葉に、私はその時の光景を思い出していた。