八神くんのお気に入り
あの身体に…
抱きしめられたんだっけ…。
おっきくて
骨ばった手とか…
男の子なんだって実感させられて、ドキドキした。
それに…
私のおでこに…
「莉子、顔赤くない?熱?」
菫の声に、ハッと我に返った。
「な、何でもない。大丈夫!」
“そう?”って言った菫は疑いの眼差しをしていたんだ。
「あれ?」
菫は机の横に掛けていた私のカバンを見た。
「?」
「莉子、キーホルダー外したの?」
「え?」
そんなはずはない。
リスがドングリを持った、お気に入りのキーホルダーだもん。
私は確認するためにカバンを机の上に置いた。
「え!?無い!!!」
嘘…
どこで??
「昨日、準備する時はあったのに〜」
私はカバンの上に突っ伏した。
「もう立ち直れないぃぃぃ」
ショックすぎて涙が出そう。