八神くんのお気に入り
「そしたら絶対楽しかっただろうなって思うのに…!」
「バーカ」
そう言ってテーブル越しに伸びてきた八神くんの手は、私の頭をワシャワシャした。
「わっ」
「あんま可愛いこと言うな」
…っ…
急に恥ずかしくなった私は、気を紛らわす為にジュースを飲んだ。
照れ臭くて、何を話したらいいのかわからない私。
気付けばジュースを飲み干していた。
チラッと八神くんのジュースを確認すると、八神くんの方ももう無くなっていたんだ。
「そろそろ帰るか」
そう言って立ち上がった八神くんに、私も急いで立ち上がる。
「うん」
「先行っといてくれるか?」
「?どうしたの?」
「トイレ」
「あ、うん」
私は出口に向かって歩きだした。