八神くんのお気に入り
「いいえー」
はははは。
嫌な予感しかない。
そんな私に気付かない莉子は、やっぱり莉子だ。
キョトンとしてるよ。
莉子は鈍感な部分があるからな。
「さっさと行こうぜ?」
そう言いながら、原田くんは顎をクイッとしゃくった。
前を歩く莉子と八神の後ろを歩いて正門を出た。
……。
やっぱそうなるよねー。
莉子と八神が隣どうしなら、私は必然的に原田くんと一緒になる。
だいたい予想はできてた。
その前に、みんなこっち方面の帰り道なの?
だとしたらすごい偶然だ。
「原田くんは家どの辺なの?」
……。
……。
え?
「原田くん?」
少し距離のある原田くんの顔を覗いた。
「うっせぇ。こっち見んな」
「はぁ?!」
何その態度!!