八神くんのお気に入り
雨宿り
「雲行きが怪しいね」
菫の言葉に、食べる手を止めて私は窓の外を見た。
「ほんとだ。あっちの方暗いね」
「午後から体育あるっていうのに」
菫がため息を漏らした。
「途中で降らなきゃ良いけど…」
「テニスだったよね?」
「うん」
「外かぁ」
そう言って菫は紙パックのジュースを口に咥え、窓の外を見た。
体育の授業が始まる前に雨が降ってたら体育館なんだけど、雨が降ってなかったら外で授業。
「あの先生、ちょっとの雨だったら授業続行だもんね」
菫の言葉に私は苦笑いした。
「こっちは髪の毛濡らしたくないって言うのに!」
「濡れるのはちょっと嫌だよね」
半乾きとか臭くなっちゃう…。