八神くんのお気に入り
「……大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」
起き上がった菫は、私に笑顔を見せた。
「ちょっと休んだら部活行くし…」
そう言った菫はカバンの中に教科書を入れ出した。
……。
ちょっと菫の事が心配だけど、休むって言ってるのに私がいたら邪魔になるかな…??
「雨降りそうだから、先…帰るね?」
「うん。気をつけてね」
菫にバイバイって手を振って教室を出た。
っと、思わせて私は教室をこっそり覗く。
だって菫の事が心配なんだもん!
「小早川さん、何してるの?」
突然後ろから聞こえた声にビックリして叫びそうになった私は、
「きゃっ──…!!」
慌てて口を押さえた。
「佐々木くん!!」
小声でそう叫んだ。