八神くんのお気に入り
やっぱり机の上で伏せていた菫。
その光景を見て私は安心した。
「よかった」
教室を出たのは間違いじゃなかったみたい。
「喧嘩でもしてんの?」
「へ?」
…何で?
「一緒に帰らないの?」
「菫、今日は部活に行くみたい」
「ふーん」
菫の様子も見たことだし、私は本当に帰ろうかな。
「小早川さん…っ」
「あ、佐々木じゃーん」
向こうの方から聞こえた声に、私達は振り返った。
廊下を歩いている2人の女子が、手を振っていた。
佐々木くん、今何か言おうとした…?
「今から帰りー?」
「そうだよ」
「一緒に帰ろー?」
「いいよー」
私の後ろにいた佐々木くんが、急に私の顔を覗き込んできた。