八神くんのお気に入り

「小早川さんも一緒に帰らない?」


へ?


ビックリして佐々木くんから離れる。


「わ、私はいいよ」


「何で?1人じゃないの?」


そうだけど…


「佐々木くん達、寄り道するでしょ?」

「あー、うん」

「雲行きも怪しいから、今日は真っ直ぐお家に帰ろうと思ってるの…」


「佐々木ー?」


「ほら、呼んでるよ?」


「んー…わかった」

「ごめんね?」

「今度一緒に帰ろう?」


そう言って佐々木くんは笑った。


ジメジメした空気なんか吹っ飛ばすくらい、爽やかな笑顔。



「じゃあね」


片手をヒョイッと上げて歩き出した佐々木くんの背中を見送った。




……。


下駄箱一緒だから私もそっち行くんだけどな…。



すぐ行ったら、なんだか追いかけてるみたいで嫌だな…。


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