八神くんのお気に入り
私はもう一度菫の様子を見て、佐々木くん達とは反対側の廊下を通って下駄箱に向かった。
空を見るとやっぱり暗くて…
今にも降り出しそうな雲。
私は気持ち早歩きで正門を出た。
ポツ
ポツ
ポツ
コンクリートが少しずつ色を変えていく。
嘘!?
降り出しちゃった!
酷くなる前に帰らなくちゃ…!
そう思ったのも束の間、雨はザーザー音を立てて降り始めた。
「きゃー」
「嘘ー?」
「最悪」
突然の雨に、帰っていた生徒達が叫んでいる。
学校を出て数メートル。
走り出したんだけど、家までまだある。
どこかで雨宿りしたい。
前方にバス停が見えた。
バス停はダメだ…!
そこで雨宿りしてたらバスが止まっちゃう!!