八神くんのお気に入り

ドキッ


上半身裸の八神くんが見れなくて、私は視線を逸らす。


頭の上にあるモノを確認すると、そこにはさっき八神くんが着ていた青いシャツがあった。



へ!?


「濡れちゃうよ…!」


シャツを取ろうとする手を、また八神くんに阻止された。



「風邪ひくだろ?」


真っ直ぐ見つめてくる八神くんが、何だか見れない。


それが、裸のせいなのか…


恥ずかしいからなのか…



何も言えなくて俯いてると、再び私の頭を拭きだした八神くん。




「大人しくしてろよ」


激しい雨の音のせいか、八神くんの声がより一層優しく聞こえる。


「うん…」




八神くんがワシャワシャする度に石鹸の香りが広がる。



八神くんと一緒にいると、よく石鹸の香りがしてた。



きっと、

この匂いは八神くんのもので……。


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