八神くんのお気に入り
私は投げるように八神くんにジャージを返して、慌ててブラを隠すようにしゃがみこんだ。
最悪…。
冬は黒色のセーラー服に白色のスカーフ。
夏は白色のセーラー服に紺色のスカーフ。
つい最近衣替えしたばかりで…白色になったの忘れてた…。
最悪…。
八神くんに見られた。
じわりと涙が浮かんでくる。
最悪…。
しゃがみこんだ私の背中にパサッと落ちてきた“モノ”。
それは確認しなくてもわかる。
フワッと香る石鹸の匂い…
…やっぱり八神くんのジャージだ。
顔を上げると八神くんと目があった。
「また泣いてる」
クスッと笑った八神くんは、しゃがみこみ、私と同じ目線になった。
「だから初めから渡してただろ?これ貸すから」
そう言った八神くんは私の頭に手を置いた。