八神くんのお気に入り
「向こう向いててやるから」
優しく撫でる八神くんの手に、何故か安心してしまう。
「な?」
その“な?”の声が、優しくて…胸がキュッてなる。
私は恥ずかしくて、静かに頷いた。
濡れたセーラー服を脱いで、八神くんから借りたジャージの袖に手を通す。
わっ…
おっきい…
石鹸の香りにドキドキしながら、私はチャックを閉めた。
「八神くん…ありがと…」
その言葉に、背をむけていた八神くんは振り返った。
「やっぱでけぇな」
「ちょっと…」
見栄を張ってそんな事を言った私だけど、本当に大きい。
スカートなんて、あと少しで隠れてしまいそうなくらい。
「手、出して」
「??」
不思議に思いながらも、八神くんの前に右手を出した。
袖から手が出てなくて…ちょっと不格好。