八神くんのお気に入り
「ねぇ2人って本当に付き合ってんの?」
「は?」
私より先に反応したのは銀髪の彼だった。
「さっきから見てるとさー葵ちゃん怯えてない?」
黒髪の彼の言葉に言葉を失う。
「八神に対して敬語だしさ、さっきも胸庇おうとしてなかった?」
どうしよう……変な汗が出てくる。
「それはおまえが急に手出すからビックリしただけだろ」
「にしてもさ、」
そう言って黒髪の彼は身を乗り出して、私の頬に触れる。
ビクッ
その手はスルッと首に移動していくんだ。
「処女みたいな反応するよね?」
バレてる。
私のせいだ。
「本当に葵ちゃん?」
耳元で囁く声。
我慢しなくちゃ。
今日1日彼女なんだから。
首から鎖骨に移動する手が怖いと思ってしまう。
でも、我慢しなくちゃ。
「……っ」
私はギュッと目を瞑った。