八神くんのお気に入り

「いい加減にしろ」

そう言った銀髪の彼は、黒髪の彼を席に突き飛ばした。


「ヤらさねぇって言ってんだろ」

「はぁ?こいつ彼女じゃねぇんだろ?」


銀髪の彼にそう言い放ち、私を見る黒髪の彼。


「おまえ誰だよ」



ひっ


な、何でこんなにも機嫌が悪いの??


でも…



「あ、葵、葵です!」


今日は彼女だから!

今日だけは彼女の役目だから……!



「あーうぜぇ。おまえもかよ」

「おまえなんなの?八つ当たりしてくんな!」

「はぁ?」


突然立ち上がった黒髪の彼は、私達を見下すように睨んだ。


喧嘩が始まってもおかしくない空気に、周りの人達も遠くの方で私達の様子を見てる。



た、助けてよぉ……。




トコトコと小さい男の子が黒髪の彼の後ろを歩いているのが見えた。


その子は自分よりも大きいトレーを持って、こっちに向かって歩いてきてる。


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