八神くんのお気に入り
何も返事をしない八神くん。
でも…急に私の頭を撫で出した。
ドキッ
「や、八神くん?」
どうしたの?って言いたかったけど、
名前を呼ぶので精一杯だった。
八神くんの腕の中は、夏服のせいか、鎖骨とか胸板とか…
直に触れてるんじゃないかって思うくらい、近くに感じてしまう。
おまけに石けんの香りがして…
ドキドキしない方がおかしい。
私の頭を撫でる手に、意識がいってしまう。
こんなに近かったら…
ドキドキしてるのがバレる。
「莉子の心臓すっげー早い」
その言葉にドキッと大きく鼓動が鳴った。
「やぁ…」
恥ずかしくて離れようとしたら、バレてしまったのか力強く抱きしめられた。