八神くんのお気に入り
え?
「はぁ?学校で1位か知らねぇけどさ、年下の分際で調子のんなよ?」
「上等。おまえなんか10秒も掛かんねぇよ」
ちょっと……待って…!
2人が動き出した瞬間、私は黒髪の彼目掛けて走り出した。
あの様子じゃ……気付いてない!
「ダメ!!」
わっ
急ぐ気持ちに体がついてこれなくて、バランスを崩した私は黒髪の彼を押し倒してしまった。
「いたたた…」
「ってぇなオイ」
「ご、ごめんなさい」
そう謝ってすぐに黒髪の彼の上から降りる。
起き上がった黒髪の彼は、当たり前って言ったら当たり前だけど、私を睨んでいる。
「ごめんなさい」
もう一度謝って、汚れてしまった制服を優しく叩く。
「あ、キズ」
黒髪の彼の頬に擦り傷の様なものがあった。
もしかして私が倒した時に出来たキズ?!
急いでカバンから絆創膏を取り出して、黒髪の彼の頬に貼る。
「本当にごめんなさい」
もう
私のバカ……。