八神くんのお気に入り

え?


「はぁ?学校で1位か知らねぇけどさ、年下の分際で調子のんなよ?」

「上等。おまえなんか10秒も掛かんねぇよ」


ちょっと……待って…!



2人が動き出した瞬間、私は黒髪の彼目掛けて走り出した。


あの様子じゃ……気付いてない!




「ダメ!!」


わっ


急ぐ気持ちに体がついてこれなくて、バランスを崩した私は黒髪の彼を押し倒してしまった。




「いたたた…」

「ってぇなオイ」

「ご、ごめんなさい」


そう謝ってすぐに黒髪の彼の上から降りる。


起き上がった黒髪の彼は、当たり前って言ったら当たり前だけど、私を睨んでいる。



「ごめんなさい」


もう一度謝って、汚れてしまった制服を優しく叩く。



「あ、キズ」


黒髪の彼の頬に擦り傷の様なものがあった。


もしかして私が倒した時に出来たキズ?!


急いでカバンから絆創膏を取り出して、黒髪の彼の頬に貼る。




「本当にごめんなさい」


もう

私のバカ……。


< 20 / 511 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop