八神くんのお気に入り
「莉子可愛い」
「んっ…」
耳元で囁く甘い声に力が抜けそうになる。
「莉子」
八神くんの手が私の顔に触れる。
「や、神…くんっ…」
「あーもう、そんな声出すなって」
そう言って勢いよく身体を離した八神くんは、数秒間視線を下に逸らした後、私を見つめた。
ドキッ
このままじゃ心臓が持たない。
わ、話題変えなきゃ…!
「や、八神くんが言う罰ゲームって…これ…?」
「ん?あぁ」
ある意味、ドキドキして罰ゲームみたいだけど…
「名前を呼ぶんだったら私じゃなくて、八神くんの事、か、楓…くんって呼ぶとか…そう言うのじゃ…?」
「それも良いけど、いつか莉子は“楓”って呼ぶことになるから」
「へ?」
「莉子が俺に惚れたときに」
「…へ!?」
わ、わわ私が、八神くんを!?
ワタワタする私に、八神くんは小さく笑った。
「夏祭り俺も行く」
「へ?」
「祭りの間、手繋ぐ。莉子がそこまで言うならこれを罰ゲームにする」
「へ?!」