八神くんのお気に入り
えーっと、“×”のマークがあるところは、黒で塗りつぶして良いんだよね…。
キャップを取り、ペン先を原稿用紙に当てようとした時だった。
勢いよくドアが開かれ、ビックリした私は肩が飛び上がった。
あっぶなー。
あともう少し、開かれるドアが早かったら線からはみ出してた…。
「菫ぇ!!!」
げっ
荒々しく叫ぶ声…。
振り向いた私の元へズカズカと来るのは…
「何の用」
金髪の原田陸にそう強い口調で言った。
「ちょ、菫」
心配した表情の愛菜が隣に来る。
「一緒に帰らないって言ったでしょ?って言うか、何で私の部活知ってんのよ?やっぱストーカ…っ!」
グッとスカーフを引っ張られ、私の身体は前に出た。
「あんま調子乗んなよ?」