八神くんのお気に入り
どうしよう…。
わかっているのに、
足が…足が…動かない。
自分でも震えてるのがわかる。
逃げろ。
逃げろ。
逃げて、私…!
「ね?行こ?」
肩に手を乗せて無理やり私の足を動かす。
「どいつもこいつも、いい加減にしてくれよ」
顔を上げると、壁に寄り掛かる原田がいた。
「げ」
そう言った先輩は一瞬嫌な顔をした後、ニッコリ笑った。
「何?俺等今からこの子にお詫びしようと思ってんの。邪魔しないでくれる?」
「邪魔なのはオメーらだよ」
腰に手を当てて、すごい顔で睨む原田は…相当怒ってる。
「オメーらの“お詫び”って女とヤりたいだけに連れ込むだけだろ?」
ドキッ
原田の言葉に、私の中の嫌な予感が的中した。
や、やっぱり…そうだったんだ。
原田がゆっくりと私達に近付いてくる。
「まだ懲りてねぇわけ?」