八神くんのお気に入り

もう1人の先輩が原田の背後に回り、拘束するように両肩を捕んだ。



倒れた先輩は口を切ったのか、血を手の甲で拭き立ち上がる。



「ナイス」


再び鈍い聞こえた鈍い音に、怖くて目を瞑った。




「ムカつくんだよ。オメーも八神も」


そう言いながら先輩は殴る手を止めない。



「年下のくせに生意気なんだよ」



何で、

何で殴られっぱなしなの?



何度も殴られる原田を見て、私は思わず口を押さえた。



「やめて!」


これ以上は無理。


そう思ったら、体が勝手に原田を殴る先輩の体を掴んでいた。


「はぁ?」


原田が、

原田が死んじゃう…!!



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