八神くんのお気に入り
「わかってる。バカが、血を流しすぎだ」
そう言った八神は原田の首に手を当てた。
再び聞こえた足音に視線を向けると、先生達が走って来ていた。
「さっきの音は….って、原田!?」
急いで駆け寄る先生に、八神は原田の首から手を離した。
私と目を合わせると、
「生きてる。安心しろ」
そう教えてくれた。
「でも…」
「また八神か!」
何かを言おうとした八神の声を遮った先生。
「違う!違うんです…!先輩達が原田を殴って…」
さっきの光景がフラッシュバックされて、言葉が出なくなる。
「さっき廊下を走る生徒とすれ違ったな」
「はい。きっとその2人ですね」
そう会話をする先生達に、掴まれた腕を八神は振り払った。