八神くんのお気に入り
ブスのくせに
《 side-Riku 》
ソファの上で寝転がり、ニュース番組を眺めるようにただ何となく見ていた。
俺等2人しかいない部屋は静かなもので、テレビの音量も小さいまま。
俺と少し離れた位置にいる八神は、テーブルの上で雑誌でも読んでるのか、紙が擦れる音が聞こえる。
ヴヴヴヴッ
スマホのバイブがリビングに響いた。
ソファの上で寝転がる俺の耳にも、その微かな音は入ってきた。
あえて遠ざけた俺のスマホは、テーブルの上に置いてある。
「鳴ってるぞ」
「んー」
電話に出たくない俺は適当に返事をした。
包帯で巻かれた左腕を眺めた。